ワコムの液タブを購入して使い始めて数年。
この記事では「パソコンを使って絵を描いてみたい」と思われたペンタブ初心者の方へ向けて、おすすめの液タブを紹介しつつ、選び方の6つのポイントをお伝えしていきます。
実際に液タブを購入し、使い続けているからわかること、購入した当時はわからなかった購入のポイントはもちろん、家電量販店で液タブを販売されている方のアドバイスも含めてまとめてありますので、液タブ購入の参考の一つにぜひお使いくださいませ。
目次
液タブの選び方の6つのポイント
まず最初に、私が実際に手に入れたワコムの液タブ(Cintiq 13HD 液晶タブレット)を購入した際に悩んだことを整理しながらポイントを6つに絞って「選び方」を紹介したいと思います。
- 価格(予算におさまるように)
- インチ数(置き場所におさまるように)
- メーカー(失敗しないように)
- 描きやすさ(筆圧やタッチ機能など)
- グラフィックソフトやパソコンとの互換性(使えないことが無いように)
- OS搭載モデル or 据え置きでの使用
正直なところ、初めて液タブを購入した際には、描きやすさであったり、グラフィックソフトとの相性などは気にせずに、なんとなくワコムが良いと思い決めてしまったのですが、実際に使い始めてみると上記5つはチェックしておきたいところかと思います。
一つずつ理由をお伝えしていきます。
1.価格(予算は10万円程度みておくと良い)
液タブに入る前に、私は板タブと呼ばれる液晶画面がついていないペンタブを使用しておりました。
ワコムのbamboo MTE-450です。※現在は生産中止
読み取り部分はA6サイズ程度、筆圧は512レベル。価格は当時で1万円程度だったと思います。
それから数年後、やっぱり液晶画面がついた「液タブで絵を描いてみたい」と思うようになりまして、同メーカー「ワコムの液タブ」について調べ始めてみると・・・描きやすいと評判だった13インチ前後のモデルで10万円前後の価格帯であることを知りました。
現在も、ワコム製「13インチ」で評判の良い液タブ「Cintiq Pro13」をチェックしてみると、10万円を超えた価格で売られております。
当時はワコム以外の液タブを考えてなかったのですが、液タブを購入しようと思ったら10万円近くの投資が必要となることがわかり、驚愕したことを覚えています・・・苦笑。
現在メーカーによっては多少価格が下がってきているとはいえ、これから液タブを検討をされる方も10万円程度の予算を考えておくと安心です。
なお、液タブの価格はインチ数によって比例します。
ワコムで言えば、20インチを超えてくるモデルになると20万円近くの価格になり、倍近く価格の差が生まれてくると覚えておきましょう。
2.インチ数(何を描くか?置き場所は大丈夫か?)
続いて液晶画面のサイズ(インチ数)です。
これについては実際に家電ショップなどに出かけていって、実物を見て決められるのが一番ですが、なかなか液タブって置いてないんですよね・・・。
と、そんな時は自分の描くもの(イラスト・漫画・グラフィックデザインなど)によってインチ数を検討されると良いかと思います。
例えば私の場合は、一枚もののイラストを描くことが多いので13インチもあれば今の所は十分でした。当然、大きい液タブを使ってみると「いいなぁ」と思う部分も当然ありますけど、使用用途にあって価格帯もちょうど良かったのです。もしかするとグラフィックデザインの一環として液タブを使用するとしたら、もっと大きなインチ数の方がよかったのかもと思います。
もしかしたら最初に使っていた板タブが6インチだったので・・・どれを使っても使い心地が良いのかもしれませんが(笑)
なお、私はお試しモニターとしてXP-PENの16インチの液タブも使わせていただいたのですが、3インチ大きくなるだけでもかなり違ってきます。
イラストを描くときの感覚も変わりますが、一番大きなメリットはイラストソフト(CLIP STUDIO PAINT)を立ち上げて、サイドにメニュー等を広げておいても、十分に描くスペースが確保できる点。
これは使ってみると・・・よくわかると思いますが、例えば小さなテーブルの上でスケッチをするよりも、大きなテーブルの上でスケッチをした方が、絵具や色鉛筆、定規など、使う道具を効率よく広げられる分、作業がはかどりやすいイメージです。
3.液タブメーカーは信頼性で選ぶ
私は最初に使用したペンタブがワコムだったこともありまして、何も考えずにワコム製の液タブを探してしまいましたが、今から液タブを探すのであれば他のメーカーも検討しても良いかと思います。
- ワコム
- HUION
- XP-PEN
- UGEE
など。
上記は、主にはアマゾンで販売されている液タブのメーカーになりますが、口コミ評価を見る限り、どのメーカーの液タブもスペックは良いものとなっているようなので、現在はワコムじゃないから・・・と思わなくても現状は良さそうです。
しかし、口コミ評価が少ない+聞いたこともないメーカーの液タブを購入する場合には注意が必要。
いくらインチ数が大きかったとしても、すぐに故障してしまったり、描きやすさが悪かったり、液晶画面の写りが悪かったりすれば使い物にならないですし、特に故障した場合の対応が悪ければ「せっかく購入した液タブ」が使い物にならなくなってしまう可能性もあるからです。
液タブはとっても高額な製品です。故障した際の保証・修理・サポートがちゃんとしているメーカーを選ぶようにしましょう。
4.描きやすさ(筆圧・タッチ機能)
私が当初使っていたワコムの板タブ(bamboo MTE-450)から比較すると、HUIONさんの板タブ(Q11K)が大変イラストを描きやすくなったと先日レビュー記事で紹介させてもらったのですが、実はこれには筆圧レベルが関係していたようです。
それもそのはず、ワコムの板タブ「bamboo MTE-450」の筆圧は512レベル。こちらのHUIONさんの板タブ(Q11K)は8192レベルなんです・・・。
512レベル → 8192レベル
ち・・・違い過ぎる!!
筆圧512レベルを知っている自分からすると、8192レベルは恐ろしいほど紙に書いているような感覚でイラストを描けてしまいます。
ちなみに、私が購入したワコムの液タブ「Cintiq 13HD」の筆圧レベルは2048なので・・・描き心地だけをみると、結構違います。
2048レベル → 8192レベル
これも、
4倍も違うじゃないか!
なお、冒頭で紹介した液タブ「Wacom Cintiq Pro 13」の筆圧レベルは8192になっていますから、描き心地を求める方は筆圧レベルは8192のものかどうかをチェックされると良いかと思います!
ちなみに・・・Apple Pencilの筆圧レベルは?と気になったので調べてみたのですが、公式には発表がないみたいです。
タッチ機能も実は大切
あとは液タブについているショートカットボタンの充実や、タッチ機能について。
タッチ機能とはその名もズバリ、指で画面をタッチして操作が出来る機能の事。
例えば私が購入した「ワコム Cintiq 13HD」には2種類あるのですが、実はタッチ機能がついていないものを購入してしまっていました。
※これはタッチ機能がついているものです。
指を使って操作できることによって効率よく作業が可能となる場合もあるので、この辺りについては実際にタッチ機能を体感できるお店で試してみると良いかと思います。
5.グラフィックソフトやパソコンとの互換性
私が使用しているグラフィックソフトはadobe系のもの、イラストはクリップスタジオペイントとなります。※OSはWindowsもMACも両方とも使っている状態
これまでに試してきた液タブ、板タブも含めて相性が悪かったり互換性が会わなかった事はありませんが、購入する前に使用するグラフィックソフト、あとは対応システム(WindowsやMAC OSのバージョン)などを確認してから購入するようにしなければいけません。
ある程度新型のパソコンを使われている場合には問題はないでしょうけど、旧型のOSを使っている場合、液タブが機能しないこともあるので注意が必要です。
6.OS搭載モデル or 据え置きでの使用
あとは、私は残念ながら試したことが無いのですが、液タブのみで動くOS搭載モデルにするか、既存のパソコンに接続する形で使用する据え置きでの使用を基本とするか?といったポイントです。
ワコムでは、MobileStudio Proシリーズを単体で動くOS搭載モデルと位置づけており、ワコムの最新のペン&タッチテクノロジーを搭載。
既存のパソコンと接続する必要すらありませんので「持ち運び」にも最適で、筆圧レベル等も高く、たいていはタッチ機能が付いているなど描きやすさは最高クラスというメリットがあります。
逆にデメリットは、以下の通り。
- 比較的小さめのインチ数(20インチ以下)しか販売が無い
- 価格帯が非常に高額
Cintiqシリーズは既存のパソコンに接続することが大前提なので、「持ち運び」には適しておりませんが、27インチの大画面を用意していたり、販売価格がOS搭載モデルと比較すると安価になるのがメリットがあります。
逆にデメリットは、以下の通り。
- 持ち運びが出来ない
- 高い筆圧レベルやタッチ機能等、高機能なスペック搭載モデルが少ない
いかがでしたでしょうか?
以上の6つのポイントを抑えていただくことで、お安く賢く、自分にあった液タブを手に入れていただくことができるかと思います。
ただ、あくまでも筆圧やインチ数などは数字上のものとなりますから、できることなら家電量販店などで実際にペンを握ってみた感じを試してみることをお勧めいたします。
ビックカメラ名古屋駅西店に確認をとってみたところ、残念ながら店頭でチェックできるのは液タブではワコムのみでした。他メーカーについては、後日試す方法が無いかを確認してみたいと思います。
私が使ったことがある液タブと選ぶポイント
さて、そんな液タブの選び方をお伝えしてきた私ですが、実際のところ、ちゃんと液タブに触ったことがあるのは、以下の3つです。
- ワコム(Cintiq 13HD)
- XP-Pen 液晶ペンタブレット 16インチ(現在:Artist16Pro)
- HUION 液晶ペンタブレット 19インチ(GT-191)
筆圧レベルは1と2は全く同じの2048レベルで、大きく描き味に違いは感じませんが、13インチから16インチに画面が広くなった分、イラスト作成ソフトとの相性もあるんでしょうけどXP-PENの方が良い印象を受けています。
※XP-PENのArtist16Proは現在筆圧レベルが8192にバージョンアップ。
ところが、HUIONのGT-191は8192の筆圧レベルとなっている+さらにインチ数が3インチアップしているので格段に使いやすさが変わってきます。
この3つの液タブを比較してみると、基本性能にそれほどの違いがないのであれば、やっぱり液タブはインチ数が大きい方がメリットは大きいのかな?と正直なところ感じたのですが、
実際に液タブを販売されている専門の方に「液タブの選び方のポイント」を聞いてみたところ、「自分が思っているインチ数よりもワンサイズ大きなものを選ばれると良い」と言われていたので、液タブはインチ数が結構な決め手になるようです。
初心者におすすめのペンタブは?
と、ここまでに液タブの事をさんざん紹介しておいてなんですが、「これからパソコンで絵を描きたいと思ってますが、どのペンタブを購入したらいいですか?」と、初心者の方に聞かれた場合のおすすめのペンタブは、エントリーモデルとして板タブ(液晶画面がついていないペンタブ)を紹介します。
一万円前後という優れたコスパで購入できる板タブは、確かに液晶画面がないので慣れるまでには時間がかかるかもしれませんが、実際にはプロの漫画家、イラストレーターさんも板タブで描かれている方も多くいらっしゃいます。
デメリットは画面に直接描けないことですが、メリットもたくさんあります。
- 価格が安い
- 持ち歩きに便利
- 導入・設置が簡単
- パソコンを使ってのイラストに慣れる事が出来る
ほとんどの場合、今使っているパソコンにそのまま繋げてしまえば使えるものだと思いますし、薄型のものが多いため持ち歩きにも大変便利。
ノートパソコンと組み合わせれば、学校や職場でイラストを描くこともできますので、持ち歩いて徹底的にイラストをマスターする事が出来ちゃいますので、とりあえずパソコンで絵を描きたいのであれば板タブもおすすめです。
中古や格安の液タブはどうか?
液タブを探しはじめると、どうしても気になってくるのが欲しいモデルの中古品などの格安モデル。
メーカーが販売している箱が潰れているだけのアウトレット品などは特に問題はありませんが、中古品となると・・・話は別。
パソコンと同様、その人が使った癖のようなものが画面に残っていることが多いでしょうし、万が一故障などのトラブルが起こった時には保証がないため修理代がかさんでしまうこともあるからです。
今時はコスパが良くて、インチ数の大きな液タブを新品で購入することは可能だったりもしますので、わざわざ人が使った中古品を検討するよりも、メーカーを変えてみることを検討されたほうが良いかと思います。
おすすめの液タブのまとめ
以上が、私が感じた液タブを選ぶ際に押さえておきたいポイントと、おすすめの液タブでございました。
最近、液タブや板タブについて「おすすめはどれですか?」と聞かれる機会も増えてきたのでまとめてみましたが、私なりの最後の決め手は「使用用途」と「価格」だと思います。
- 何を描こうとしているのか?
- 作業環境はどのように考えているのか?
- 予算はいくらまで用意できるのか?
を決めることで、あなたが選ぶべき液タブが必然的に決まってくると思います。
最後に私のオススメを紹介しておくと、
- 本格的にイラストを始めていきたいなら「ワコムのCintiq Proシリーズ」
- 大きめサイズの液タブ+コスパ良しなら「HUIONの19インチ以上の液タブ」
といったところです。
2018年の3月に発売となったばかりの最高クラスの液タブです。予算があるならお勧めしたい最強モデル。
2017年4月に販売となったワコムの液タブ。インチ数が16と多少小さくなりますが、筆圧レベルなどは8192と最高クラス。
最後は当サイトでも紹介したHUIONのGT-191。画面がとにかく大きくて書きやすいのに、コスパはワコムの1/3程度。個人的には超おすすめです。
また、初めて購入する液タブにいきなり10万円を投資するのは難しい!とお考えの方は、エントリーモデルとして板タブもありです。
- とりあえずパソコンで絵を描きたいなら「HUION Q11」
から始めてもらうのも一つの方法かと思います。
液タブを選ぶ際の一つの参考にしていただけたら幸いです。